豚の飼育試験結果について
少し(少しではない。)古いのですが、豚の飼育試験をした結果があります。飼育試験の結果は満足のいく結果です。その後も実際に飼育している養豚業者さんに、飼育の状況を時々お尋ねしていますが、総て順調との返事をいただいています。そのため新たに飼育試験を実施していません。
1 飼育試験の年月日
平成20(2008)年2月17日~同年8月中旬まで
2 実施場所
宮崎県都城市
3 実施要領
(1) 出生直後の仔豚80頭を2群に分け、1群(40頭)を試験区、他方の1群(40頭)を対象区とした。
(2) 発育状況に偏りが出ないよう同じ親豚から生まれた仔豚を2分して2群に振り分けた。
(3) 試験区の仔豚のみに飼料【大和光輪石】を主飼料の0.2%(500分の1量)を与え、対象区は主飼料のみを与え、従来の飼育方法を採った。
(4) 試験開始時の仔豚の体重は8.1㎏/1頭(平均)であった。
4 実施経過
(1) 試験開始後33日経過時の様子(いわゆる仔豚期)
① 試験区
30㎏を超えた仔豚 7頭 20㎏以下の仔豚 2頭 事故死頭数 0頭 治療頭数 2頭
(プリミド1頭 ビクタス1頭)
② 対象区
30㎏を超えた仔豚 0頭 20㎏以下の仔豚 14頭 事故死頭数 3頭 治療頭数 15頭
(プリミド12頭 アンピ3頭)
(2) 中間期の様子(肥育前記=日齢63日~112日)
① 試験区
70㎏を超えた仔豚 6頭 50㎏以下の仔豚 7頭 事故死頭数 2頭
② 対象区
70㎏を超えた仔豚 0頭 50㎏以下の仔豚 16頭 事故死頭数 2頭
(3) 肥育後期の仔豚の様子(日齢160日)
① 試験区
100㎏を超えた仔豚 29頭 70㎏以下の仔豚 0頭 事故死頭数 0頭
治療頭数(肥育中間期を含む。) 41頭
(プリミド4頭 アンピ23頭 ビクタス1頭 エクセネル11頭 ダイメトン2頭)
出荷全頭数の体重(すでに出荷済みの頭数11頭を含む。) 4,015㎏
② 対象区
100㎏を超えた仔豚 7頭 70㎏以下の仔豚 2頭 事故死頭数 0頭
治療頭数(肥育中間期を含む。) 91頭
プリミド18頭 アンピ56頭 エクセネル17頭)
出荷全頭数の体重(すでに出荷済に頭数0頭) 3,096㎏
5 実施結果考察
(1) 試験区は、仔豚期の事故率が非常に低く特筆すべきである。
(2) 給仕率が良くなり(下がる。)増体率が上がっており、1日当たりの増体差が144g/1頭であった。
(3) 事故死頭数は、中間期からは差がないが、対象区では試験区で事故死した豚より体重が極端に低いものもいるので、試験区の飼育方法によっては
事故死頭数を0頭に抑えることが出来るのではないかと思った。
(補足:試験区は全体的に大きいので事故死した豚はそれらと比較すると極端に小さいので、大きな豚からいじめられたり下敷きになっ
て事故死したものである。そのため、試験区の小さな豚は別枠に隔離して飼育すれば事故死が防止出来たのではないかと思われるので、
さらに大きな差が出ていたものと思われます。)
(4) 出荷日齢平均で14.3日の差が出たので、飼育期間が約半月短縮になった。
(5) 飼料【大和光輪石】を与えたのは1㎏/1頭/飼育期間(約6か月間)で、合計40㎏/40頭である。
(6) 事故死豚処理費用は、仔豚期2,000円/1頭、肥育中間期3,000円/1頭、肥育後期4,000円/1頭である。
(7) 肉質
試験区の肉質は柔らかく豚特有の臭いがなく美味しい肉質である。脂身に甘みを感じる。
6 飼育試験結果
(1) 全出荷重量差
試験区 4,015㎏(出荷頭数38頭) - 対象区 3,096㎏(出荷頭数35頭) = その差 936㎏
この差は40頭の飼育頭数であったので、仮に1,000頭の飼育数であれば25倍してその差は23,475㎏となり、出荷体重
115㎏/1頭として約204頭もの差になります。1万頭の飼育頭数であれば、さらにその10倍の差となります。
(2) 薬品使用料
① 試験区 プリミド 5 ビクタス 2 アンピ 23 エクセネル 11 ダイメソン 2
② 対象区 プリミド 30 アンピ 79 エクセネル 26
(3) 事故死豚処理費用
試験区 6,000円 対象区 12,000円 その差 6,000円
(4) 主飼料の給仕率
試験区 3.1 対象区 3.2
試験区は給餌率が良くなり、且つ飼育期間が短縮されていますが、餌の食いつきがよく、良く食べますので主飼料には差がないものとして
試算します。
(5) 飼料【大和光輪石】の使用量と価格
前述のとおり飼料【大和光輪石】は40㎏/40頭でした。このことから飼料【大和光輪石】を定価で試算しますと、66,000円(含む。消費税)
/40㎏です。 (注:飼料【大和光輪石】は卸価格がありますので大量に使用して戴ければ前記定価より安価になります。)
(6) 上記の試算の中には、使用した薬品の名称・数量は入っていますが、価格が入っていませんので差額の中には入っていません。実際には入るので
すが、それを入れたならばもっと大きな差になります。
これらの飼育試験結果から、飼料【大和光輪石】を与えて飼育したほうが断然お得であると思いますので、養豚業者の皆さんぜひご一考ください。